アイビーファッションといえば、1960年代にアメリカ東海岸の名門大学の学生たちの間で流行した“エリートの制服”。
ネイビーブレザー、ボタンダウンシャツ、レジメンタルタイ、コットンチノ、ペニーローファー
……これらが織りなす端正で清潔感あふれるスタイルは「トラッド(トラディショナル)」と呼ばれ、1970年代から80年代の日本で一大ブームを巻き起こしました。
私が80年代~90年代どハマりしたのはプレッピースタイル。
アイビーを着崩した、いわゆるカジュアル版アイビーとでも言うのでしょうか
今回はそんな、僕らが憧れた…
プレッピーを再現するコーディネートを組んでみました。
アイビーの定番とも言えるタータンチェックのシャツに、足元はグリーンのレザーのローファー。
一見すると正統派の装いに見えるけれど、ボトムにはあえてのデニム。リジッドでもなく、色落ちの味わいが残るヴィンテージ寄りの一本。
上品さは残しながらも、ちょっと外しが効いていて、遊び心がある。
ハーバードやイェールに通う真面目な学生…というよりは、ボストン郊外の私立高校に通う高校生たちが、放課後にフリスビーをしながら着ていそうな、「きれいすぎない」東海岸のプレッピースタイルをイメージしました。
そういえば、チェックシャツはいつからかGEEK(オタク)な恰好の代名詞になってるよ、という話を先日常連さんから聞きました。
2000年代の電車男?アキバ系?
チェック柄はアイビー世代を経験した親世代からすると「無難」「正統派」の象徴。
ユニクロ等のファストファッション系ストアで大量に作られ、「無難」を求める母親たちが子供に買い与え、お洒落に目覚めることができなかった子供たちがそのまま大人になってもチェックシャツを着続けている…
年代を考えると、そんなところでしょうか。
真相は分かりませんが、まったく迷惑な話です。
ともかく、50年代・60年代にアメリカで製造されていたチェック柄は本当に芸が細かい素晴らしいプリントが多いです。
マイナスイメージがあるからか、チェック柄のシャツに苦手意識を持つ方もいらっしゃるのだと知って驚愕しております。
合わせ方はものすごく簡単で、シャツに入った色を少し離れたところに取り入れること。
たとえばこのシャツは3色使い。
赤:80%
緑:15%
黄:5%
パッと見これくらいの割合で色が使われているでしょうか。
カラー自体はクリスマスカラーなのに、ざっくりとした風合いで暑さを感じさせず、深いグリーンが入って知的な印象ですよね。
(だから50’sのシャツはいいんだよね~(以下略))
黄色のアイテムを持ってくるのはやや難易度が高いので、
今回はグリーンを足元に持ってこようと思います。
アメリカの老舗レザーシューズメーカー「ランコート(RANCOURT)」で買付たコードヴァンのグリーンのペニーローファーを合わせます。
(THANK YOU, SOLD)
※ランコートはPOLO RALPH LAURENの靴を長年作り続けているほか、最近では東京五輪のアメリカチームの開会式ユニフォームのシューズも担当していた、アメリカでは老舗中の老舗です。
このグリーン、なんて知的なんでしょう。
冒頭にも書きましたが、深いグリーンと深い赤に協調するように色のトーンを合わせ、デニムは濃紺をチョイスします。
ここで暑いからといってゴリゴリの色落ちで穴あきデニムを選んでしまうとせっかくの知的な雰囲気が台無しですので、止めておきましょう。
(それが似合うのはカートコバーンくらいじゃないでしょうか)
当時はインターネットなんてありませんから、『POPEYE』や『メンズクラブ』に載っていた、トラッドなんだけどどこか不良っぽいアメリカの学生に憧れを膨らませました。
肩肘張らずに、でもどこか品のあるスタイル。
それがプレッピーの良さですよね。
もしクローゼットに眠っているタータンチェックのシャツや、履き込んだローファーがあるなら、ぜひそれを引っ張り出してみてください。
昔のようにタイドアップしなくても、デニムを合わせてラフに羽織りましょう。
足元だけはお洒落して。
それだけで懐かしくて知的なスタイルが完成しますから。